労働相談Q&A・男女の賃金格差について

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労働相談Q&A・男女の賃金格差について

Q.使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的な取扱いをしてもいいのでしょうか?

A.使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはなりません。賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。賃金についての差別的な取扱いとは、賃金額だけでなく、賃金体系、賃金形態、支払方法などに関する取り扱いも含まれます(労働局(上)76頁)。また女性を有利に取扱う場合も、ここでいう「差別的取扱い」にあたるするのが通説です。ただし、採用や昇進等によって男女の職務配置や職位等に差を設け、 それによって生ずる賃金格差いついては、差別的取扱いとはなりません(判例・通説)。平成4年8月27日の日ソ図書賃金請求事件において東京地裁は、年齢、勤続年数が同じである男女間の賃金格差が合理的であるのは、その提供する労働の質及び量に差異がある場合に限られるべきであって、労働組合との交渉によって決定される昇給率が男女一律であるという事情のみでは、本件賃金格差の合理的理由とはなり得ない、とし、原告が女子であることのみを理由としたものか又は原告が共稼ぎであって家計の主たる維持者でないことを理由としたもので、労働基準法第4条に違反する違法な賃金差別であり、しかも適切な是正措置を講じていなかったのはことについて被告に過失のあることは免れないから、不法行為に当たると判示しています。本条に違反した場合は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。また不法行為の要件を満たす場合には、民事上の損害賠償請求も可能です。

 

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