労働相談Q&A・賃金の相殺

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労働相談Q&A・賃金の相殺

Q.私が勤務する会社の社長に借金があるのですが、社長はこの借金と私の給料を相殺するといって、給料を払ってくれません。

A.使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはなりません。(労基17)  借金の肩代わりに強制労働させることを禁止するもので、憲法18条の何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない、又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない、と定める基本的人権を実質化したものです。「前借金」とは、就業後に賃金から差し引くことを予定して、労働契約を締結する際に、労働者やその親にたいして金銭を貸し付けることをいいます。また「前貸の債権」は、金銭に限らず、金銭以外の物を貸し付ける場合も含まれることから、これらの債権と給料を相殺するような場合も本条違反に該当すると解されています。本条に違反した場合は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。また本条に反してなした相殺の意思表示は無効であるので、労働者は相殺された賃金の支払いを請求することができます。

 

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